いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
不思議と物憂げな表情を見せた坪井。
真衣香はその理由がわからなかった。 そして、追求するにも、まだそこまでを踏み込む勇気もなく。
ありがとう。 と、ただ返した。
心の中が読めないならば、読めないなりに距離を取ってきた。
言葉を選んできた。
おかげで人付き合いの色々は、下手なのだけど。
それでも傷つくことも少なかった。
(……知りたいって思ったら、どうしたらいいの)
許されるのはどこまでだろう。
坪井の言葉の真意は、不快感なのか好意なのか。
それすらもよくわからない。
経験や知識のなさや、坪井との差が歯がゆい。
(今までの彼女なら、もっとわかり合って話せてたのかな)
自信がないとマイナス思考は、とどまることを知らない。
沈んでいきそうに、俯いたままの真衣香の頬を優しい体温が包んだ。
坪井の手だ。
「立花、気をつけて帰ってね」
「……わ! う、うん」
その手が真衣香の顔をグッと上に向かせる。
驚いて激しく瞬きを繰り返していると、目を細めて真衣香を見る坪井と視線が重なった。
「寄り道しないで帰ってよ、もう遅いから」
「も、もう、坪井くん。 子供に言い聞かせるみたいにして」
少し拗ねた声を出せば、顔が近づいてきて。 真衣香の耳元で囁かれた「誰が子供だって?」の、声。
「……ちょ、と坪井くん。 人が、その、いっぱいだよ? は、恥ずかしいよ」