いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「坪井くんが戻る前に部長には話し通すから、今日か明日の朝こっちに来てもらうかもしれないけど、よろしくね」
「は、はい。 わかりました」
(え、どうしよう、部長って、営業部長に話がいくの?)
人事総務部の部長に対しても緊張のある真衣香だが、その部長が『昔から、おっかない男だよ』なんて、肩をすくめていた姿を思い出してしまった。
怖い、と思った。
真衣香自身ならば、謝って、それなりに責任を取らなければいけないと言うのならばもちろん従おう。
(でも、だけど、坪井くんは)
脳裏には、何度も真衣香の心に暖かさをくれた笑顔が蘇った。
でも、その笑顔に、今日は苦しさを覚える。
『寄りかかって』なんて、程遠い。
それほどに坪井にとって、迷惑なことをしでかしてしまったのだ。
戻っていいよ、と。
さらに突き刺さるような冷たい声で、小野原に言われた真衣香は「失礼します」と、消え入りそうな声を出して営業部を後にした。
次に頭に浮かんだのは、気怠そうにため息をついていた、一昨日の坪井の姿。
今度は自分が、その表情をさせてしまうのか……と。