いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました



「あの、坪井くん。 小野原さんのこと……あの女、なんて言わないでね」

「え?」

突然話題が変わって、坪井は不思議そうな声を出した。

「急に、ごめん。 でも! 小野原さんは、坪井くんを、多分……その」

言ってしまっていいのか。
伝えてしまってもいいのか。

声が詰まったのは、そんな自問自答のせいだ。

このまま、小野原を悪者としていれば彼女の恋が叶うことなんてないんだろう。

けれど、きっと坪井への気持ちが溢れて止まらなくて、不安で焦って。

そんな気持ちがあっての、行動なんだろうと思ったから。

(私が坪井くんと付き合えてるのは、あの合コンにたまたま参加してたからだ)

積み重ねてきた気持ちがあったわけじゃない。
それと比べてしまえば。
小野原に疎まれ睨まれてしまう、彼女にとっての〝パッと出の女〟の自覚がある。

だからこそ。

タイミングが良かっただけという複雑な思いが消えず、恐らくそれが小野原へ怒りを向けられない罪悪感になっている気がしていた。

言葉が続かなかった真衣香。

それを見ながら坪井は何やら気まずそうに息を吐いた後、ガシガシと頭を掻く仕草を見せながら途切れ途切れに言った。

「あー、この調子じゃ知らないかなって……思ってたんだけど、違ったかなー」

「……何を?」

途切れかけていた会話が、坪井の声で流れを取り戻した。
沈黙が途切れどこかホッとして聞き返せば、驚くほどにあっさりと。

「小野原さんって、俺のこと好きなんだよね。 まあ、ぶっちゃけこんなことになってんの大半そのせいでさ」

そう、答えたのだ。

「……え、し、知ってるの!? 小野原さんの気持ち!」

驚きのあまり、坪井のスーツを掴み大きな声を上げた。
真衣香の途切れてしまった言葉の続きを、いとも簡単に坪井は口にしたのだ。
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