いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました



(た、たん、短期間で2回も顎クイとやらを経験しちゃったんだけど!?)

真衣香の表情の動きひとつを見逃さないと言わんばかりに、坪井の視線は真衣香を捕らえ続ける。

(え、これ、どう、どうした、ら!? この整いすぎてる顔面ドアップから逃れるにはどうしたら……!)

ぐるぐると頭の中で考え続けるも、もちろんわからない。 
このままでは心臓がもたないと少し先の己の未来を予想して、真衣香はギュッと目を閉じた。

なんせ坪井は本当に、テレビや映画の中でしか通用しないであろう動作や行動がサマになりすぎてしまうのだから。

使いこなせるのって、イケメンの特権。
受け止めるのは真衣香が萎縮してしまう部類の美女たちの特権。

そう思っていたのに、自分はなんとイレギュラーなのか。
あの合コンの夜から夢でもみ続けているようだ。

「おーい、立花。 お前それ何? キスでもされたい? まあ俺はいつでもどんだけでもしたいけどさ〜」

「ち、違う、ごめんなさい!」

慌てて目をあけ、坪井を見る。
相変わらず近すぎる。
果たしてこの距離に慣れる日はやってくるのだろうか?

「あーあ、お前って恥ずかしがってる顔も可愛いよね」

「……え?」

「でも、可愛くってもダメ。 俺、お前相手にはけっこうしつこいみたい、残念だね。 ほら言いな」

坪井の表情はいつのまにか柔らさを消していて、伝えられそうにもない。
答えるまでは逃さないよと聞こえてきそうに目を細めて真衣香を見つめている。

「言わないなら、お前がもっと恥ずかしくなることしようか、会社だけど」

「ま、待って! 坪井くん……!」

驚きと恥ずかしさのあまり仰反ろうとするも、真衣香の身体はぴくりとも動かないどころか、逆に坪井の身体へと更に密着させられる。

(無理、無理無理、難易度高い……! 何で坪井くんは平気そうな顔でこんなことできるの!? 追いつけない!!)

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