いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
観念して、真衣香は白状する為に唇を少し開けて空気を吸った。
そして小さな声で一言だけ呟く。
「ネット……」
「は? ネット?」
真衣香が言うと、坪井は顎に添えていた手を離し首を傾げた。
「癖なの、私友達って少ないしイコール情報も少ないしで。 わからないこととか悩むことがあったらとりあえず調べちゃうの……!」
「ああ、うん。 俺もパソコンの使い方とかド忘れしたら調べるよ」
ポカン、と気の抜けたような顔で坪井が言う。
真衣香は「そうじゃなくて」と声を重ねた。
「恋愛相談とかそうゆうのよく見るの、だってわからないし。 24歳にもなって彼氏がいたことないしそうゆう書き込みとかも探したりとか、ほんと恥ずかしいんだけど」
「へえ、そんなのあるんだ」
不思議そうに呟いた坪井に、そりゃ坪井くんには縁遠いだろうけど。 と内心愚痴って真衣香は続けた。
「それでね、その……ネット検索してみたら、そうゆう女同士のいざこざを彼氏に伝えるなんて男女ともに嫌がられるとか、そうゆうの……質問のアンサーで見て」
真衣香の言葉にじっと聞き入っていた様子の坪井が目をパチパチさせた後。
「あーー、はいはい」
納得したように頷く。
少しだけ距離をあけ腕を組み、考えるそぶりを見せた後、深く背もたれにも垂れ込んだ。
その姿を恐る恐る追いながら、真衣香は続けて言った。
「小野原さんに嫌われてる気がするとか言いにくくて、坪井くんの仕事をする上で一番近くにいる人でしょ。 一番うざいって思われる感じなのかなとか、その……思って」
「はは、女同士のいざこざとかそんなレベルじゃなかったじゃん、てか仕事巻き込んでるし小野原さん」