いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
坪井は、呆れた声を出す。
そのあとに、おまけとは思えない大きな溜息も続いた。
真衣香は基本的に人の溜息が苦手だ。
良い意味を持たないことが多いから。
「ご、めん。 優里と話せるとき以外はつい調べちゃったりで……。 実体験がないもので」
だから自然と謝罪の言葉が出た。
しかし坪井から帰ってきた言葉は予想外のものだった。
「……お前凄いね」
肩を縮こまらせていたが、言葉どおり坪井に怒っている様子は見られない。
「す、凄い?」
「うん。 俺の想像範囲外なんだよね、返ってくる言葉とか反応が、立花はいつも。 全然予測できない、だから気になって仕方ないし目を離したくないって思っちゃうだよなー、多分」
真衣香の言い訳を聞いてくれていたのか、いないのか。
わからないが何かを噛みしめるように言った後、突然下を向いてしまったまま反応がない。
やがてもう一度大きく息を吐いて、坪井は真衣香の肩に、こつん。 と、おでこをのせた。
「別に悪いことじゃないし、お前じゃなくてもあれこれ調べる人は調べるけどさ」と、前置きのように聞き慣れた優しい声で言った後。
「でもさ、立花が聞かなきゃいけないのって、ネットの、顔もわかんない奴らの声じゃないし」
ボソッと低い声で言われてしまう。