いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「え……、え!? つ、坪井くん!?」

「ったた、いってぇ……」

「ど、どどどうしたの!? 大丈夫!?」

坪井が立ち上がろうとして体制を崩したのか、座り込んで痛みを訴えているではないか。

「いや、どうしたのって……」

そして恨めしそうに真衣香を見上げているかと思えば、すぐに目を逸らす。

「……お前がどうしたの、え、マジでちょっと心臓に悪いって」

「心臓……」

普段、そして例外なく今日も。
坪井は基本的に人の目を見て話す人間だ。
その坪井が真衣香と視線を合わそうとしない。

(どうしたって言うんだ、ろ……)

「……って、あああ!?」

「な、なんだよ、今度は何?」

突然の真衣香の大声に立ち上がり座り直そうとしていた坪井が驚き動きを止めた。

「も、もしか、して私! 口に出して言ってたの!?」

「…………勘弁してくださいよ立花さん」

疲れ切ったように抑揚のない声が返ってきたかと思えば、次は頭を抱えて悩ましい声を出した。

「もうやだ……、俺お前といるとめちゃくちゃダサいの」

どの辺がダサいというのか? 全く理解できない真衣香だが、まさか『いつもかっこいいと思うけど』など今この失態の中、本心を暴露してしまうわけにはいかず。

唇をもぞもぞと甘噛みしながら黙り込んでいると。

「……っと、はは、流石に仕事戻らないとな」

坪井の声が切り替わった。

「あ! ご、ごめん、坪井くん忙しいのに」

真衣香が言うと笑いながら首を振って「いや、今日は午前中暇だし、仕事は余裕なんだけどね〜」
と、すっかりおどけた声の坪井と目が合う。
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