いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
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始業時間より早く呼び出されていた真衣香が人事総務課のフロアに戻ると既に同じ課の先輩である八木が席についていた。
八木が時間通りに席についていることが珍しいのだが、八木もまた真衣香に気がついて珍しいものでも見かけたように目を見開いている。
「遅刻かよ、珍しいな」と呆れた声を出しながら隣のデスクを見た。
もう既に立ち上がっているパソコンと制服を着ている真衣香を交互に見て八木は言う。
「じゃ、なさそうだな。なんかあったか?」
そう聞くわりには、だるそうに肩をすくめて聞くので真衣香も声色を変えないよう努力して答えた。
「なにもありませんよ」
「あ、そう。課長がバタバタ戻ってきて外出したけど、お前一緒にいたんだろ?」
なにかあったのかと確認の言葉をかけてきたけれど、八木の中で答えはもう決まっていたらしい。
人事部長の甥っ子である八木は、総務課の主任という肩書きで真衣香とともに仕事をしている。
コネ入社だなんだと何かと噂をされるのは、気の抜けたやる気のない口調や、ほぼノーネクタイのスーツ姿。それにプラスしてサラリーマンにしては明るめの髪色が与える印象も大きいのだろう。
また、自由な言動や行動も大いに目立つ。
しかし、だ。
ここぞと言う時には中心に立ち仕事に参加しているし、今この瞬間の真衣香のように誤魔化せば見抜いてくる。
そんな人物だと真衣香は思っている。
仕事を押し付けられる形が多いのにもかかわらず、受け入れてしまうのは、認めてしまっているからなのだろう。
まさか、口に出すと調子に乗ってしまいそうなので言葉にはしないのだが。
典型的な〝仕事ができない人間〟ではなく〝仕事を敢えてしない〟実力ある部類のサボる人間だと思う。