いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
坪井が受け取ってくれた段ボールの中に入れたままにしていた受取書を取りに小走りで営業課に向かう。
私用に物品を発注する社員が多く内部監査できつく履歴を管理するようにと言われているのだ。
ああ、もう。 ほんと一個やれば一個忘れて……。 ぶつぶつと心の中で愚痴て営業部の裏口を再びノックする。
やや経ってドアが開くとあまり面識のない一課の女性がいた。
二課よ寄りのドアをノックしたつもりだったので驚いて変な間があいてしまう。
「あの?」
一課の女性社員が、不審そうに真衣香を覗き込むようにして見た。
「あ! 申し訳ありません、二課の坪井くんか小野原さんはいらっしゃいますか?」
訊ねると「ああ」と納得したように呟き左側を指差した。
「今ね、ミーティング入ったとこ。 あのパーテーションの向こうね、さっき入ってったとこだし用があるならまだ入っていいと思うよ」
「ありがとうございます」
女性にお礼を言い、なんとなく邪魔にならないように忍足でフロアの左奥にあるスペースに向かった。
隙間から声をかけようとした時だ。
「やー、びっくりしましたけどね。 そもそも、何であのデータ立花に渡してるんですか? 意味がわからないで困ってるんですよねー」
坪井のいつもの口調で、けれども少し早口に捲し立てるように。
そんな声が聞こえてしまい思わず出しかけた声を飲み込んでしまう。