つきとねこ

ぐったりとしている

息も荒い

猫は時々、吐いたりもするがいつもと明らかに様子が違う。

「お母さん…」

そっか、今日はお母さんはパートでいないんだ

どうしよう…病院…!

小次郎を毛布でくるんでだっこする。

軽い…

昔はあんなに、ムクムクとしてたのに今の小次郎は骨張っている。

ケージにそっと入れる。
いつもの予防接種のときなら、あんなに抵抗するのに
嫌がるそぶりさえ見せなかった。

「お父さん、お母さん!ごめん!」

私は両親の寝室に入り、貴重品入れのなかの
現金を取り出して、サイフにつっこんだ。

小次郎の入ったケージを持って私は玄関から飛び出した。

動物病院は歩いて30分はかかる。

お父さんは仕事だし車には乗れない。

急がなきゃ…!

私は一心不乱に走った。

揺れないようにケージを小脇にかかえた。

通行人が何事かと私を見ているのがチラリと見えたけど
そんなもの、かまってられない。

すぐにでも、小次郎を病院に連れてかなきゃ…
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