つきとねこ
私はケージをかかえて、とぼとぼと帰り道を歩いている
ケージをのぞくと小次郎は点滴が少しだけ効いたのか息が整ってきているようだ
家に帰る帰り道を眺めてみた。
小学生のとき、仔猫だった小次郎を連れてここを歩いた。
なんて、かわいい仔猫なんだろう
絶対に一緒に暮らすんだとワクワクしながらこの道を走って帰った。
お母さんにすごく怒られたけど
お父さんが小次郎を一目見て気に入っちゃったんだよな。
私がもっと小次郎を見てあげてたら…
自分のことで手一杯で、自分だけが辛いと思い込んで
バカみたいに部屋にこもって…小次郎と触れあう時間が減っていた
もし、私がもっとしっかりしてたらこんなことにならなかった
本当は私が気づいてあげるべきだったのに
ずっと、小次郎は私のそばにいてくれるんだって思ってた
そんなわけがないのに…
風景が滲んで見えた。