危険なキミの溺愛
「冷蔵庫の中、見ていい?」



「腹減った?色々入ってるから食っていーよ」



冷蔵庫を開けると、有名店のシュークリームが入っていた。



しかもそれだけじゃなく、SNSで話題の大きなマカロンや、あの店のロールケーキに幻のバームクーヘン、他にも色々!



「すごい…パラダイス」



「え、まじ?気に入ったなら好きなだけどうぞ」



「きゃーっ、これ!すっごく有名なやつだよね?」



「そうなの?知らね…。甘いの嫌いだからさ」



「ありがとうっ」



中川くんが神に見える。



パクパクと食べていると、失笑されてしまった。



「あ…私、お行儀悪いよね」



「いや、そーじゃなくて。うまそうに食うなって。本当に社長令嬢?」



ずーん。



品性の欠片もないって言われてるよね?



だけど図星。



社長の娘とはいえ零細企業だし、マナーもなにも身についていないっていう、ただの女の子。


「あ、悪い意味じゃなくて。かわいい」



え…かわいい?


どういうこと!?


「おいしそうに食べる子、好きだなぁって」



好き?



ええっ、本当にどういうこと!?



「あ…ありがとう…」



ここは、お礼を言うしか思いつかない。



「甘いの無理だっつってんのに、親が色々送ってくるんだよな。明日にはゴミ箱行きなのも知らないで」



「それはもったいない!」



「よかったな。ここに住む理由が見つかった」



嬉しそうに笑うから、つられて笑ってしまう。



中川くん、笑うとイメージ…変わる。



学校ではこんなに朗らかに笑わないし…。



違う人みたい。



そうかと思えば、なぜかじっと観察されていた。


すごーく腹ぺこだと思われてる?


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