危険なキミの溺愛
「家に居づらい。姉ちゃんも一緒に帰ってくれる?」



「うん。1日ぐらいなら大丈夫だと思う」



「そうじゃなくてさ。帰って来てよ…」



契約のこともあるし、私の意思ではどうにもならないことだから困る。



「そうできればいいんだけど…」



「俺が母さんを説得する。だから、お願い」



他でもない宙の頼みならお母さんも承諾する?



ううん、婚約破棄になったら倒産の危機みたいなことを言ってたし…こればっかりはきっと、無理だよね。



「湊の親と取引したのは知ってるよね?そう簡単にはいかないよ」



「だからって一緒に住まなくても。俺の姉ちゃんなのに…」



ぎゅうって抱きしめる力が強くなる。



小さい頃から湊は甘えっこで、今もずっと変わらない。



私の大切な弟。



まだまだ子供だよね。



宙の背中に腕を回そうとした時…。



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