危険なキミの溺愛
最初は動いて抵抗していたけど、しばらくすると大人しくなった。



よかった…。



相変わらず目は閉じたままで、私だってわかってないはず。



口元のガムテープを剥がすと、はぁっと大きく深呼吸をしている。



そうして、すぐに私の名前を口にした。



「花…?」


こんな状況でなんだか不謹慎だけど、ため息混じりに自分の名前を呼ばれてドキッとしてしまう。



「うん、そうだよ。ケガはない?すぐに紐を解くから待ってて」



どうしてこうなったのか聞きたいけど、今は湊を楽にしてあげることが先決。



手と足の紐を取ると、湊は耳から何かを取り出した。



「それは?」



「耳栓…このせいでなんも聞こえなくて…とにかく、ありがとな…」



疲れきっているのか、いつもの強気な湊はどこにもいない。


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