危険なキミの溺愛
「ううん…」



手首や足の傷もかなり痛そう。



それに、湊はまだ目を開けない。



「目…大丈夫?」



「あー…目もやられて開けられない…」



「すぐに救急車をっ」



そう言うと、湊は私の体を腰から抱え込むように引き寄せた。



「催涙スプレーかなんかだと思う。滲みるけど…多分、もう少しすれば大丈夫」


見えないはずだから、手を伸ばした先にあったのがたまたま腰だったのかもだけど…いつまでも離してくれない。



安心させてあげたい気持ちはあるけど、どうして抱きしめられてるんだろう。



やだ…なんかドキドキしてきた。



「…落ち着いた?」



「まだ」



そ…そうなんだ。



仕方ないけど、もう少し待とうかな。




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