危険なキミの溺愛
「何も言ってないから安心して?」



「あっそ…シンには必要以上に近づくなよ。さっき俺をやったのもアイツだし」



ソファに座らされて、湊は私を後ろから抱きしめるようにして耳元でコソコソ話す。



「やだ…近いっ」



「俺らが仲良くしてれば…シンも、早くここから出て行くはずだから」



「その…囁くのやめて…」



吐息混じりにゆっくりと話すから、ふわぁっと息が優しく耳にかかってゾクゾクする。



「わかった?シンには近づくな」



「…………」



湊の声ってこんなに甘かった?



なんだか甘ったるい声に、いまにも頭が痺れそう。



ううん…これは、愛の囁きでもなんでもなくただの脅し。



それなのに抱きしめられて脳が勘違いしてる…。



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