愛を、乞う
「2人には2人の生活があるし、うちの事で迷惑をかけるのは良くないと思うの。お母さんだってもしかしたら帰ってくるかもしれないし」
「姉さんが帰ってくるかもしれないと思うのなら、尚更のこと彩花は高校に行きなさい」
「そうよ、お金のことは心配しなくていいの。お爺ちゃんとお婆ちゃんが孫たちの学費って貯金してくれていたのよ」
眠れない夜を過ごして考えたのに、叔父さんと叔母さんの説得で私は学校を辞めずに卒業まで頑張ると約束した。
でもバイトはしなきゃならないす、2人に負担をかける訳にはいない。
「それでね、彩花……言いにくいんだけど、すぐに一緒に暮らすってのがちょっと難しいのよ」
「わかってるよ、大丈夫よ」
「仕事が休みの時は来るから、だからちょっと待っていてもらいたい」
「本当に大丈夫、私のことは心配しなくていいよ」
1週間も学校を休み、スマホの連絡アプリは同じクラスの子たちから毎日のように早く来いと通知が来る。
その画面を叔父さんと叔母さんに見せれば、少しだけホッとしようで私も同じように微笑んだ。
「体調が悪いって事にしてくれているから」
「……うん、ありがと」
きっとすぐにバレる。
何十年もスーパーで働いていた母は、接客教育系を任されているほどの優秀な人材だったのだから。