俺様副社長に娶られました
「っふ、副社長⁉︎ 玄関で寝ないでください!」
実沢さんの慌てた声が廊下から聞こえてくる。
見に行くと、創平さんは玄関でうずくまっていた。
「創平さん、大丈夫ですか?」
屈み込んで肩をさすると、創平さんはゆっくりと目を開けた。
「沙穂?」
寝惚けたような声。
焦点が合っていないような虚ろな目でわたしを見上げながら、おもむろに手を伸ばす。
「沙穂……」
そして、その手を迷いなくわたしの首に巻き付かせ、阻む間もなく抱き寄せた。
「そそそ創平さん! 寝惚けないでください!」
とっさに押し返そうとするも、体が重くて離れない。
創平さんは寝惚けると甘えてくる体質なのかもしれない……。
「寝惚けてるっていうより、惚気てるって感じがいたします」
気の抜けたような顔で笑いながら言った実沢さんが、創平さんの体を起き上がらせる。
「の、惚気だなんて!」
「なんだ実沢、まだいたのか」
すかさず否定したわたしの声と、創平さんの悪びれる様子もない横柄な声が重なった。
「副社長、起きてるじゃないですかぁ〜」
力が抜け落ちるような声で実沢さんが言う。
そのままリビングまで連れて来て、創平さんをソファに座らせた。
「どうもありがとうございました」
最後まで弱々しく微笑みながら、実沢さんは帰って行った。
玄関で見送ったわたしがリビングに戻ると、創平さんは脱いだジャケットをソファの背もたれにかける。
「創平さん、すぐに休まなくて大丈夫ですか?」
「ああ、一瞬深く寝たらすっきりした。シャワー浴びる」
「そうですか」
わたしはそのジャケットをハンガーにかけ、脱衣所でタオルの用意をした。
戻って来ると、ソファに座った創平さんは前屈みになってわたしの食べかけの丼を覗いている。
「カツ?」
「はい。た、食べますか? お弁当用に揚げた残り物を煮込んだものなんですけど」
「食う」
創平さんは短く答え、結び目に指を入れるとネクタイを緩める。
実沢さんの慌てた声が廊下から聞こえてくる。
見に行くと、創平さんは玄関でうずくまっていた。
「創平さん、大丈夫ですか?」
屈み込んで肩をさすると、創平さんはゆっくりと目を開けた。
「沙穂?」
寝惚けたような声。
焦点が合っていないような虚ろな目でわたしを見上げながら、おもむろに手を伸ばす。
「沙穂……」
そして、その手を迷いなくわたしの首に巻き付かせ、阻む間もなく抱き寄せた。
「そそそ創平さん! 寝惚けないでください!」
とっさに押し返そうとするも、体が重くて離れない。
創平さんは寝惚けると甘えてくる体質なのかもしれない……。
「寝惚けてるっていうより、惚気てるって感じがいたします」
気の抜けたような顔で笑いながら言った実沢さんが、創平さんの体を起き上がらせる。
「の、惚気だなんて!」
「なんだ実沢、まだいたのか」
すかさず否定したわたしの声と、創平さんの悪びれる様子もない横柄な声が重なった。
「副社長、起きてるじゃないですかぁ〜」
力が抜け落ちるような声で実沢さんが言う。
そのままリビングまで連れて来て、創平さんをソファに座らせた。
「どうもありがとうございました」
最後まで弱々しく微笑みながら、実沢さんは帰って行った。
玄関で見送ったわたしがリビングに戻ると、創平さんは脱いだジャケットをソファの背もたれにかける。
「創平さん、すぐに休まなくて大丈夫ですか?」
「ああ、一瞬深く寝たらすっきりした。シャワー浴びる」
「そうですか」
わたしはそのジャケットをハンガーにかけ、脱衣所でタオルの用意をした。
戻って来ると、ソファに座った創平さんは前屈みになってわたしの食べかけの丼を覗いている。
「カツ?」
「はい。た、食べますか? お弁当用に揚げた残り物を煮込んだものなんですけど」
「食う」
創平さんは短く答え、結び目に指を入れるとネクタイを緩める。