俺様副社長に娶られました
お参りが済むと、裏にある池の方に移動する。
真っ赤になった顔を見られないように俯いて、創平さんの後ろをそろそろとつけまわす怪しいわたし。
神社をあとにするとき、水辺を撫でた涼しい風のお陰で下降した頬の温度が再び上昇した。
「そういう沙穂は、俺のことちゃんと男だって意識してんだ?」
「っ!」
不意打ちで振り向いた創平さんに問われ、グッと息を飲み込んだわたしは固まってしまった。
創平さんは掴みどころがない。
落ち着いた表情で、いちいちドキドキさせることを言う。恋愛未経験者のわたしには、本当に心臓に悪い。
「さっきの願いなら、もう叶ってるからな」
車の前まで来て創平さんはドアを開けて運転席に乗り込むという流れるような所作の最中に言った。
一拍間を置いて、ぽかんとしていたわたしも急いで助手席に乗り込む。
エンジンをかけ、シートベルトを伸ばしながら横目でわたしを見つめる。
「女だって十分わかってる。裸も見たんだから」
「そ、それは忘れてください!」
眉根に皺を寄せて抗議するわたしを見て、口端を上げてクッと笑う。
次の行き先に向かう道中、胸がきつくてヤバかった。
金属を打ったようにきんと高鳴ったりギュッと締め付けられたりして、どうしたら正常に戻るのか今すぐネットで調べたい……。
創平さんから顔を背けるように窓の外ばかり見ていると、神社からわりとすぐそばの歴史がありそうな古い家屋の前で停車した。
「最後にここを紹介する。親父が電話入れといたって言ってたから、すぐ案内できるはずだ」
建物の入り口に小さな白い電飾看板があって、そこには【料亭 天川】と書かれている。
「親父の実家。今は妹夫婦がやってる」
看板をキョトンと見つめるわたしに、創平さんが簡単に説明した。
これから会うのは創平さんの叔父さんと叔母さんってこと?
別の種類の動悸がしてきた……。
門をくぐり、入り口の引き戸を開ける。
からからと味のある音がするのはうちの実家とよく似ていて、なんだか懐かしくて気持ちが少し落ち着く。
「創平くん、いらっしゃい。兄さんから電話もらったから席用意してたわよ」
出迎えた和服姿の年配の女性が、創平さんの半歩後方でお辞儀をしたわたしを見て目を丸くした。
真っ赤になった顔を見られないように俯いて、創平さんの後ろをそろそろとつけまわす怪しいわたし。
神社をあとにするとき、水辺を撫でた涼しい風のお陰で下降した頬の温度が再び上昇した。
「そういう沙穂は、俺のことちゃんと男だって意識してんだ?」
「っ!」
不意打ちで振り向いた創平さんに問われ、グッと息を飲み込んだわたしは固まってしまった。
創平さんは掴みどころがない。
落ち着いた表情で、いちいちドキドキさせることを言う。恋愛未経験者のわたしには、本当に心臓に悪い。
「さっきの願いなら、もう叶ってるからな」
車の前まで来て創平さんはドアを開けて運転席に乗り込むという流れるような所作の最中に言った。
一拍間を置いて、ぽかんとしていたわたしも急いで助手席に乗り込む。
エンジンをかけ、シートベルトを伸ばしながら横目でわたしを見つめる。
「女だって十分わかってる。裸も見たんだから」
「そ、それは忘れてください!」
眉根に皺を寄せて抗議するわたしを見て、口端を上げてクッと笑う。
次の行き先に向かう道中、胸がきつくてヤバかった。
金属を打ったようにきんと高鳴ったりギュッと締め付けられたりして、どうしたら正常に戻るのか今すぐネットで調べたい……。
創平さんから顔を背けるように窓の外ばかり見ていると、神社からわりとすぐそばの歴史がありそうな古い家屋の前で停車した。
「最後にここを紹介する。親父が電話入れといたって言ってたから、すぐ案内できるはずだ」
建物の入り口に小さな白い電飾看板があって、そこには【料亭 天川】と書かれている。
「親父の実家。今は妹夫婦がやってる」
看板をキョトンと見つめるわたしに、創平さんが簡単に説明した。
これから会うのは創平さんの叔父さんと叔母さんってこと?
別の種類の動悸がしてきた……。
門をくぐり、入り口の引き戸を開ける。
からからと味のある音がするのはうちの実家とよく似ていて、なんだか懐かしくて気持ちが少し落ち着く。
「創平くん、いらっしゃい。兄さんから電話もらったから席用意してたわよ」
出迎えた和服姿の年配の女性が、創平さんの半歩後方でお辞儀をしたわたしを見て目を丸くした。