【女の事件】いらくさの家

第25話

７月30日の朝９時過ぎのことであった。

東ヶ丘にある多香子の実家の居間には、多香子の母親とあきひことあきひこの姉夫婦がいた。

あきひこは、あちらこちらを逃げ回っていたが、７月29日に成瀬(東京都町田市)のJRの駅で無事に発見されて警察署に保護された。

あきひこと多香子は、夫婦生活を続けて行くことが不可能な状態におちいっていたので、今後どのようにして行くのか話し合いをしていた。

この時に、あきひこが煮え切らない態度になっていたので、多香子の母親が思い切り怒っていた。

「あきひこさん!!あなた自身の気持ちをもう一度聞くけれども…あなたは多香子ともう一度やり直して行くと言う気持ちはあるの!?それともないの!?」
「どうって…」
「あきひこさんは、見たところではもう一度やり直して行くと言う気持ちが現れていないみたいね…なさけないわね!!」
「そのように言われても…しかたがありません…私は…もとから結婚には向いていない…いえ…向こうとしなかったのです…」
「そうよね…それじゃあ、離婚する？」
「リコン？」
「そうよ!!」
「じゃあ…そのようにいたします…ぼくは…結婚…いえ、何やっても中途半端で終わってしまう性格なので…」
「そうよね…それだったらもう、お姉さん夫婦にすべてメンドー見てもらいなさい…」

多香子の母親は、あきひこが煮え切らない態度になっていることにイラついていたので、姉夫婦に強烈な声で怒鳴り散らした。

その一方で、多香子の今後どのようにして生きて行くのかが深刻な問題になっていた。

多香子の父親は、多香子に老後を奪われたと今でも怒っているので早いうちに手を打たなければとあせっていた。

ところ変わって、鶴見にある父親の職場の自販機コーナーにて…

多香子の父親は、現場主任の男性にどうすれば多香子が本気になって生きて行けるのかと言うて大きくため息はついていたので、現場主任の男性はこう答えた。

「どのようにすれば多香子さんが本気になって生きることができるのか…う～ん…むずかしい問題だね…」
「わしは…思い描いていた老後が送りたいのに、多香子と美香子が全部ぶち壊していったのだよ!!なんなんだ一体…わしは今まで何のために生きてきたのだと思っているのだよ!!」
「小松崎さんはどのようにしたいのかな…小松崎さんは多香子さんに家から出ていってほしいと言うのかな…」
「ええ…」
「あのね小松崎さん…うちにもね…40前のせがれがいるのだよ…うちのせがれが劣悪なんだよ…大学を卒業して就職してくれるとばかり想っていたら大学院へ行きたいと言って、そのまま大学院へ進学をしたのだよ…ところが…大学院へ行くと言うのはタテマエで、ホンネは家に閉じこもりがちになってしまったろくでなし何だよ…いつになったらシューカツをするのだ…いつになったら正社員の職業につくのだ…口やかましく言い続けているのだけどゼンゼン言うことを聞こうとしない…どうしようもないんだよ…小松崎さん…思い描いている老後なんてもんはもうないのだよ…この際だからさ…もう一度家族関係を見直してみてはどうだろうかな…」
「家族関係を見直せだと!!」
「だって、そうするしか他に方法はないのだよ…小松崎さん…言い方が悪かったらかんべんしてほしい…思い描いている老後なんてもんはもうないのだよ…分かっているのだったら家族関係を見直すより他はないのだよ…あんたね!!ここは職場なんだよ!!職場へきている以上はみんなと歩調を合わせなさい!!分かっているのだったら持ち場へ帰りたまえ!!言うことが聞こえないのか!!ああ!!」

現場主任の男性は、多香子の父親に思い切り怒鳴りつけた後に背中を向けて現場へ戻った。

何が歩調を合わせなさいだ!!

何が持ち場へ帰りたまえだ!!

わしはもうガマンできん!!

多香子の父親は、現場主任の男性の言葉に思い切りキレていたので、職場放棄をして工場の外へ出て行った。

多香子の父親は、翌日から無断欠勤をした。