【女の事件】いらくさの家
第7話
5月10日を境にして、多香子の家の家庭内の人間関係が狂ってしまったのと同時に、章介とヨウスケの心にできた傷がさらに拡大していた。

章介は、多香子から1週間キンシンしていなさいと言われたので、キンシンをすることになった。

章介は、多香子に対する憎悪をより強めていたので、外の世界とシャダンしてしまった。

章介は、部屋の入り口にバリケードをはったあと床の上にものを散らかして立てこもったのと同時に外の世界とシャダンをしたので、多香子はキンシンをとくタイミングをずるずると逃していた。

ヨウスケも、多香子からアニメのDVDソフトを捨てられたことが原因でひねくれてしまったので、部屋の入り口にバリケードをはったあと外の世界ともシャダンしてしまった。

多香子は章介とヨウスケが部屋の入り口にバリケードをはってしまったので『もう知りません!!』と言うてひねくれていた。

それと同時に、多香子は知らないうちに育児放棄をしていると言うことに気がついていなかった。

多香子の父親は、職場でハラスメントの問題を起こして従業員さんたちから反感を買っていると言うのに『ワシは悪くない!!従業員が甘ったれているだけだ!!』と言うてひねくれてばかりいた。

本社から呼び出しが来たときには『従業員が甘ったれているのでワシの思いに答えなかった!!』と言うて自分は100パーセント正しいと言うて、抵抗していた。

父親が職場に対して抵抗していることを聞いた母親は、思い切りあきれていた。

多香子の母親は、父親に対してより冷たい態度で接するようになっていた。

それをみていた美香子は、心が大きく傷ついていたのと同時に『もうイヤ…こんな家なんかにいたくない!!』と言うて、激しく泣いていた。

どうしてアタシのおとーさんは…

多香子の母親なんかを選んだりしたのよ…

アタシ…

つらい…

実母に会いたい…

やさしかった実母に…

会いたい…

美香子は、5月11日に多香子の母親から『ハローワークへ行きなさい!!』と強烈な声で言われたので、仕方なく仕事を探しに行くことにした。

美香子は、ハローワークへ着いたとたんに頭が大パニックを起こしていたので、山下公園へ逃げて行った。

ところ変わって、山下公園にて…

美香子は、ベンチに座ってぼうとした表情で海をながめていました。

アタシ…

シューカツをしても失敗ばかりが続くからもうイヤ…

こんなことになるのだったら…

結婚…

ううん、結婚することもイヤ!!

アタシ…

よく考えてみたら…

人生失敗してしまったわ…

男の子ばかりの家に生まれて来たから…

蝶よ華よと愛でられて…

大事にされてばかりいた…

だから失敗してしたのよ…

こんなことになるのだったら…

女の子が多い家に生まれたかった…

大金持ちのお屋敷の家に生まれたかった…

もうイヤ…

もうイヤ…

美香子は、男の子ばかりの家に生まれて来たあと、大事にされてばかりいたことが原因で浮き世の世知辛さを知らずに育ったので、手痛いシッペ返しを喰らったようだ。

美香子はこの時、20年以上前のことを思い出した。

美香子は、高校を卒業した後に進学をするはずだった女子大の入学を自己都合で辞退した後、おばの紹介で地元の信用金庫に契約社員として入社した。

決められた時間に出勤して、与えられた仕事だけをしていれば正規雇用にかえてもらうことができるからがんばってゆこうと言い聞かせて、与えられた仕事をこなしていた。

契約期間は1年で、1年が終わるごとに書面の更新でつないでいた。

そんなことを繰り返していたので、いつになったら正規雇用としてやとってくださるのか…と思うようになっていた。

どんなにがんばってもお給料が上がらない…

いつになったら正規雇用に変えてもらえるのか…

美香子の頭の中は、その事ばかりが頭の中を渦巻いていたので心がボロボロに傷ついていた。

上の人に聞いても『待ってくれ待ってくれ…』と言うだけなのであてにできない…

そのように思っていた美香子は、信金やめたいと思うようになっていた。

美香子が27の時であった。

上の人から『君もそろそろいい年なんだし…いつになったらコトブキなのかな…』と言われた。

上の人から寿退社を強要されたことに耐えきれなくなったので、美香子は信金をやめた。

そしてシューカツをしたのに、どこの事業所もやとってもらえなかったので、就職をやめて結婚することを選んだ。

結婚したいと言うても、父親が『美香子が専業主婦で通して行くことができる男性じゃないと…』と言うて、結婚相手の条件をより厳しくしていたので、お見合いが壊れてばかりいた。

美香子は、30歳になってからお見合いをしたが、父親があらかじめ設定していた条件が合わないことが原因でお世話をしてくださるご夫婦に文句ばかりを言ってたので、ものの数ヶ月でお見合いをやめた。

結局、美香子は再びシューカツをしていたが雇ってくださる事業所がなかったので、またお見合いをすることにした。

しかし、父親が設定した条件じゃないとダメだと仲人さんにケチをつけたことが原因でまたお見合いをやめて、またシューカツした…

再びシューカツしたのに、面接を受けても採用がもらえないことばかりが続いている…

…と言う悪循環がつづいていたので、美香子は生きる力を喪って(うしなって)いた。

美香子の父親が『美香子が専業主婦で通して行くことができる安定した収入があること…』と言う条件で設定しているけど、条件をクリアした男性はほんの一握り…いえ、いるわけなどないと言うので、お世話をしてくださるご夫婦はとりわけ父親が求めている条件に近い男性を紹介してお見合いのセッティングをしていた。

しかし、父親がケチをつけてばかりいたので、美香子のお見合いは壊れてばかりいた。

そうした原因は、父親がお見合いの度に相手の男性対してに『給与明細をみしてくれるかな…』と言うて、お見合い相手の男性の収入を聞いて行くことであった。

父親がお見合いの席で大酒をのんで酔っぱらっていたので、失言暴言が多く目立っていた。

「お願いがあるのだけどいいかな…」

いつのことだったのかわかなかったが、お見合いの席で、父親が世話人夫婦が紹介して下さった通りに安定した収入なのかどうかを確認したいので、お見合い相手の男性に給与明細を見せてほしいと要求していた。

この時、美香子のお見合い相手の男性がイヤそうな表情で父親に言うた。

「お願いって何なのですか?」
「ああ…お気を悪くしてしまったらあやまるよ…だけど…ひとつだけお願いを聞いてくれたらいいだけなのだよ…」
「ひとつだけお願いを聞いてくれって、何なのでしょうか!?」
「給与明細…持ってきたかなぁ…」
「給与明細!?何で給与明細が必要なのですか!?」
「ああ…誤解しないでくれ…ワシは君が安月給だとは言っていないのだよ…」
「言っているじゃないですか!!それじゃあ小松崎さんはどうして私に給与明細を見せてと言うのですか!?」
「ああ…落ち着いて落ち着いて…小松崎さん、あんたね!!それで何回娘さんのお見合いが壊れたと想っているのですか!?」
「知らない…」
「知らないじゃないでしょ!!」

世話人の奥さまの言葉を聞いた父親は思い切りキレていた。

「何や!!もういっぺんいってみろ!!ワシはあんたらに美香子の身丈に合うお見合い相手を探せと言ってお願いをしていたのにまた安月給の男を紹介したのか!!」
「小松崎さん!!何をおっしゃられているのですか!?私たちは誠心誠意を持ってお世話をしたと言うのにどうしていちいちいちいち文句ばかりを言ってくるのですか!?」
「文句を言いたくもなるわ!!」
「小松崎さん!!」

父親は、さらにひどく酔っていたので大声を張り上げて暴言をはいてしまった。

「ワシはな!!美香子が専業主婦で通して行くことができる安定した収入がある男性を求めているのに…どうして安月給の男性を紹介したのかと聞いているのに、あんたらが小うるさく反論ばっかりしてくるから頭に来ているのだ!!」
「小松崎さんがお見合い相手の男性にいちいちいちいちケチつけて行くからでしょ!!」
「やかましい!!ケチをつけて来たのはあんたらのほうだ!!」
「小松崎さん!!」
「ケッ…ふざけやがって…ワシは娘の結婚相手になる男性がどれだけお給料をかせいでいるのかが知りたいから給与明細を見せてほしいと頼んだだけだ!!お見合い相手の男性の給与明細を見るのは娘の父親としての義務だ!!文句あるか!!」
「ンマー!!何てことを!!小松崎さん!!うちの長男だって安月給なのですよ!!うちの長男だって結婚したいと想っているのに、お給料が少ないけれど結婚しているのよ!!足りない分はお嫁さんの収入で補っているのよ!!」
「いーや!!共稼ぎはダメだ!!ダメダメダメダメダメダーーーーーーーメ!!共稼ぎはゼーーーーーターーーーイダメーーーーーー!!」
「あなた!!」
「やかましいだまれ!!共稼ぎよりも専業主婦で床の間にかざってもらうほうが幸せなんだよ!!あんたらにお見合いをお願いしたのが間違いだったんだよ!!ふざけやがって!!」

世話人さん夫婦は、父親の言葉にカチンと来たので背中を向けて帰ってしまった。

お見合い相手の家の家族も、父親の言葉にカチンと来たので帰られた。

そういうことで、美香子は結婚することをあきらめて就職する方を選んでシューカツをしていました。

けれど、『やっぱり結婚がしたい…』と言うてシューカツを放棄してまたお見合いをすると言う悪循環を繰り返していた。

そういうことで、美香子は生きる力を喪って(うしなって)いた。

もうダメ…

アタシ…

この先どうすればいいのよ…

お見合いが壊れるたびに…

ハローワークに通って…

必死になって仕事を探して…

採用をもらうために、面接を受けに行った…

約束の時間をきちんと守って…

受け答えもきちんとしているのに…

帰ってくる答えは不採用ばかり…

不採用の山が続いて、シューカツがイヤになったら…

やっぱり結婚したいというて…

両親に泣きわめいて…

お見合いをお願いしたと言うのに…

おとーさんがケチをつけていたので、あっけなく壊れてしまった…

そしたらまたシューカツ…

いつまで続くのよ…

アタシ…

もう…

たえられない…

もうダメ…

もうダメ…

もうダメ…

今の美香子は、人生をもう一度やり直して行こうと言う気持ちを喪って(うしなって)いた。

もしかしたら、やり直しのチャンスはめぐってこないのかもしれない…

お見合いをしたいと言っても、おとーさんがお見合い相手の男性に給与明細見せてくれとケチをつけて来るに決まっている…

おとーさんは、共稼ぎの夫婦はダメだと言うけど…

それは一体、どういう意味なのかしら…

お嫁さんを働かせたら、かわいそうだと言いたいのかしら…

専業主婦で床の間にかざってもらうほうが幸せなんだよだなんて、ムジュンしてるわよ…

そういうおとーさんは…

職場でハラスメントを繰り返してばかりいたので職場を追われたと言うのに…

ハラスメントは、悪いことだと思わずに…

自分の主義主張ばかりを唱えて、ひねくれている…

アタシ…

おとーさんなんか、いらないわよ…

美香子はこの時、シューカツとお見合いを両方あきらめて自爆することを訣意(けつい)した。

それからしばらくして、美香子は小学校時代の時に6年間クラスが一緒であった友人の女性と会って、山下公園の近くにあるスイーツカフェへ行った。

ところ変わって、スイーツカフェの店内にて…

ふたりはお茶をのみながらこんな会話をしていた。

「美香子…あんたもつらかったよね…シューカツをしても断られてばかり…お見合いをしてもおとーさんがお見合い相手にケチをつけてくる…」
「つらいどころじゃないわよ…もうズタズタに傷ついているのよ…」
「そうよね…」

美香子は、お茶を一口のんでから友人の女性に言うた。

「ねえ…アタシ思うのだけど…」
「何を?」
「結婚ってさ…専業主婦で床の間にかざってもらうほうが幸せになれるの?共稼ぎの夫婦は幸せになれないの?」
「ウ~ン…」
「ねえ…どうなのよ?」
「そうねえ…」

友人の女性は、ひと間隔を置いてから美香子に言うた。

「分からない…分からないわ…」
「分からない?」
「そうよ…」
「分からないのに結婚したって意味なんかないわよ…」
「そうよね…」

友人の女性は、お茶を一口のんでから美香子に言うた。

「今の世の中は、結婚をしても専業主婦で通して行くことがむずかしいのよ…美香子のおとーさんが求めている安定した収入と言うことについても具体的な金額が分からないので、一体何を基準に安定した収入を言っているのよ…と言うことになるわねぇ…美香子のおとーさんは頭がイカれてしまったのじゃないのかな…」
「そうかもしれない…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」
「美香子…」
「シューカツにしたってそうよ…面接の約束の時間をきちんと守って、面接中は受け答えよく受けたと言うのに…採用して下さった見込みなんて…ゼンゼンなかった…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」
「美香子…美香子…泣かないでよ…美香子ってば…」
「くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」
「困ったわねぇ…」

友人の女性は、くすんくすんくすんと泣いている美香子にどうやって声をかければいいのわからずに、困り果てていた。

友人の女性は、くすんくすんくすんと泣いている美香子にこう言うた。

「美香子…あのね…この際だから言うけれども…シューカツとコンカツ…やめちゃいなよ。」
「えっ?」
「今の時世はね…就職も結婚も…むずかしい…と言うよりも、思い通りに行かなくなっているのよ…だからさ…シューカツイヤになったからお見合いがしたい…だけど、お見合いの席でおとーさんがケチをつけに行く…だから結婚をあきらめてまたシューカツをする…そんなことの繰り返しになったら…美香子はつぶれてしまうわよ…だから…シューカツとコンカツを両方やめようよ…この際だから、人生全部リセットしてしまおうよ。」
「人生をリセットするって…」
「美香子…あんたこのままでは苦しむばかりなのよ…それでもいいの!?」
「それは…イヤ…」
「そうよね…だったらさ…今夜遊びに行かない?」
「えっ?」
「シューカツしても不採用の山が続いている…お見合いをしても父親がケチをつけに行くことばかりが続くようでは、美香子だってつらいじゃない…それに…男だなんてさ…ホストクラブへ行けばいっくらでもいるし…そうしよう…ねえ美香子ってば…」

美香子は、友人の言葉を聞きまして人生を全部りせっとすることを訣意(けつい)して、遊びに行くことにした。

美香子は、友人の女性と一緒に中華街で晩ごはんを食べた後、伊勢佐木町にありますホストクラブへ行って夜遊びをしていた。

美香子は、シューカツとコンカツヤーメタと言うたあと、墜ちて行くところまで墜ちて行くことを選んだので、やり直しの機会を次々と逃していた。
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