消えない茜色
星南は両手で頼の頬に触れる。何をするわけでもなく、二人は見つめあう。
先に表情を崩したのは、頼だった。頼は優しく微笑む。
「ありがとう、星南さん」
「……その顔、わかってないだろ」
星南はため息をつきながら、頼の頭の上に立った。
「お前が思っている以上に、お前はみんなに大切に思われてる。それはわかっておけよ」
「そんなおおげさな」
頼が笑って返すと、星南は空中で逆立ちをした。逆さまの星南の目は、怒っているようだった。
「頼。お前は昔から人間が好きで、話すことが好きなのもわかっている。人間と関わるなと言っているわけではない。あの娘と関わることで、お前は自分よりもあの娘を優先してしまうだろう。それが気に入らないんだ」
すると、頼から表情が消えた。星南の視線から逃げるように、視線を落とした。
「矛盾してるってわかってるけど……紫乃と関われなくなるのは、嫌なんだ」
その答えを聞いて、星南は黙って柵の上に立った。
「だからって、あやかしであることを隠してあの娘と関われば、同じことの繰り返しだぞ。わかっているのか?」
頼は柵の上を歩く星南を目で追う。
「……星南さんも厳しいことを言うね」
頼はベンチに寝転がり、星空を見上げた。そしてゆっくりと目を閉じた。
先に表情を崩したのは、頼だった。頼は優しく微笑む。
「ありがとう、星南さん」
「……その顔、わかってないだろ」
星南はため息をつきながら、頼の頭の上に立った。
「お前が思っている以上に、お前はみんなに大切に思われてる。それはわかっておけよ」
「そんなおおげさな」
頼が笑って返すと、星南は空中で逆立ちをした。逆さまの星南の目は、怒っているようだった。
「頼。お前は昔から人間が好きで、話すことが好きなのもわかっている。人間と関わるなと言っているわけではない。あの娘と関わることで、お前は自分よりもあの娘を優先してしまうだろう。それが気に入らないんだ」
すると、頼から表情が消えた。星南の視線から逃げるように、視線を落とした。
「矛盾してるってわかってるけど……紫乃と関われなくなるのは、嫌なんだ」
その答えを聞いて、星南は黙って柵の上に立った。
「だからって、あやかしであることを隠してあの娘と関われば、同じことの繰り返しだぞ。わかっているのか?」
頼は柵の上を歩く星南を目で追う。
「……星南さんも厳しいことを言うね」
頼はベンチに寝転がり、星空を見上げた。そしてゆっくりと目を閉じた。