桜の咲く頃……… 君を想う
「この写真………
私が持ってたら………嫌ですよね?
かといって………捨てるのは絶対嫌だし…………。
先生、貰ってもらえますか?
お渡ししても良いですか?」

…………………………………???

何故、この写真の行き場に悩んでるんだ??

俺のことが好きだから、ずっと大切に持っていてくれたはずなのに。

捨てたくないから…………俺に返すって……………。

「今言ったこと…………ホント?
本当に僕のことが…………好きだった??」

俺の質問の仕方が不味かったのか。

彼女の目には…………涙が溜まり始めた。

あっ………マズイ!

告白してくれた彼女を、泣かせるなんて………。

とにかく、彼女が俺をどう思っていても良い。

俺の気持ちを彼女に伝える方が先だ!

「ちょっと待ってて。」

彼女をソファーに待たせて、寝室に向かった。

持って来たのは、一冊の絵本。

これは彼女が、高校生の時にクラスで初めて読んだ絵本だ。

あれから何度か、学校で他のクラスにも読んだが………

あの時の彼女ほど真剣に聞き入ってくれる子はいなくて………

読むことは止めた。

「……………………大きな木??」

想像していた物と違ったのか………涙も引っ込んだ。
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