桜の咲く頃……… 君を想う
たぶん…………

頭の整理がつかないんだろうなぁ。

……………俺だってそうだ。

あまりにも長かった片思い。

想像はしたし

今日だって、上手くいかすことを考えてラストチャンスに挑んだが。

まさかホントに上手くいくなんて…………。

「……………落ち着いた?」

少し猶予をあげたからか

幾分落ち着きを戻した表情をする。

「こっちにおいで。」

さっきまでの距離を少し詰め………向かい合う。

「桜ちゃん。
………………好きです。
ずっとずっと、片思いしていたのは………僕の方です。
『生徒に恋をするなんて…………』って思うのに。
忘れることも。
写真を棄てることも…………できなかった。
……………………桜ちゃん。
こんなオジサンで………元教師だけど。
僕と、お付き合いしてもらえませんか?」

こんなにきちんと、素直に自分の気持ちを伝えたことって……

今まであっただろうか?

たぶん………初めてだと思う。

まるで中学生のようだと、もう一人の俺が笑っていた。

くすぐったいような。

ドキドキと落ち着かない思いで………

彼女の返事を待つ。

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