桜の咲く頃……… 君を想う
『卒業おめでとう!
3月14日のホワイトデーの日。町立図書館に来てください。
その時に、鉛筆の下に書いてあったメモの話しがしたいです。』と書き

彼女のイメージの、ピンクのバラやかすみそう、ガーベラ等をあしらった

小振りの花束を添えてテーブルの上に置いた。

ここで彼女と繋がるのは最後だと思えば、淋しさも感じるけど。

このメモを見て、来てくれることを期待する。

今日は、教師として高校生最後の姿をこの目に焼きつけておこう。



卒業式も無事終わり、図書室の様子が気になったが

俺が顔を見せれば

彼女は二度と俺の目の前に来てくれないような気がして

覗くことは出来なかった。

喜んでくれると良いんだけど。

その後、玲奈ちゃんにもらったメールと写真は……

あの日やっぱり顔を出せば良かったと、後悔するような内容だった。

彼女は切なそうな表情で、花束に顔を埋めて泣いていたのだから。
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