桜の咲く頃……… 君を想う
「ところで桜。
今日は婚約報告だけってことは、ないよね?
もちろん、桜の手料理でおもてなしでしょ?!」

「当たり前じゃない!!
だって、お料理教室に通ってたんだよぅ~
ケーキのデザートだって、チャッチャと作ってるよ!」

俺達をからかうだけじゃ物足りないのか…………

ホンのちょっと前まで『親友』だと豪語していた口から出たと

思えない言葉だ…………。

「あっ…………あのね。
えっと………。
教室には、通ってたんだけど……………………。」

スッカリ困り顔の桜に、ニンマリしている自称『親友』達。

ホントに親友かぁ~。

「桜は作るって言ってたんだけど
一番初めは俺に作って欲しいから止めた。
文句は俺に言って。」と口を挟んだ。

グリグリ肘でつつく春人を無視して

桜にニッコリ微笑むと

「あぁ~あ。
アホ臭い。
しょうがないから電話しよう。」と携帯を取り出す玲奈ちゃん。

……………………??

読めない行動に戸惑っていたら

「そろそろお願いしま~す。」と言って電話を終えた。

「亨ちゃん、玄関開けて。」

「四人からのお祝い。」

そう言うとベルがなった。

「…………………はい。」

玄関を開けると……………

出張寿司屋。

………………………さすが金持ち……………。

あれこれ戸惑う俺を無視して

慣れたメンバーによって、我が家は寿司屋に変わっていった。
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