笑顔の行方
「寧々本人から電話がきたから………………間違いない。」

ガックリと肩を落とす兄貴。

何でまた急に??

「寧々は、やりたいことが見つかったと言っていた。
それに、彰人と家庭を持つならゆっくりお嫁さんがしたいと……。
無理にこの会社を押し付けるつもりはない。
やりたいことがあるなら、そっちに進めば良い。
けど………何をやりたいのか知りたいんだ。
協力出来るなら、手を貸してやりたいし…………。
それと…………
今まで押しつけ過ぎたかと思うと…………申し訳ない。」

たぶん、兄貴の不機嫌の原因は……………この後悔だ。

年の離れた俺との恋愛。

寧々の将来を心配して、継がせたいと言っていたけれど。

寧々にとっては迷惑だったんじゃないかと…………。

「寧々は、他に何か言ってましたか?」

首を振る兄貴は…………

今まで見てきた腹黒さも、曲者感もなく。

ただ純粋に娘を心配する、父親のようだった。

…………………寧々の奴……………どうするつもりだ??

「寧々と話してみます。」と言って

部屋を後にした。
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