笑顔の行方
「ちょっと良いか?
それって……………寧々の夢なのか??
俺は、寧々がホントにやりたいことなら
会社を継ごうが介護師になろうが…………
教師でも医者でも、何でも応援する。
けど………
兄貴の為の跡継ぎや俺達の為の介護師には………応援出来ない。
俺と年が離れてる分
同じ年頃の恋愛とは、かなり違うはずだ。
学校帰りのデートもなければ…………
一緒に、受験勉強をすることも出来ない。
現に、友達に俺の事…………言ってないよな?
別にそれは良いんだけど………
それだけでも我慢してるのに、これ以上我慢はしてほしくないんだ。
来年1年、棒に振ったって良いから
やりたいことを、もう一回ゆっくり考えて決めて欲しい。
焦らずゆっくり、夢を追って欲しいんだ。」

自分で口にしてみて

これが来年、二人になることの不安だったんだと気づいた。

彼女や婚約者として

家事をしたり、頑張ったりするよりも。

女子大生として友達と遊んだり、旅行したり………

自由にやりたいことをして欲しい。

別々に住んでたら、会ったときだけ彼女で

家に帰ったら娘としてのんびりしているはずだ。

同居すると、彼女なのに奥さんのような縛りが出来てしまうから……。

将来もそうだ。

誰かのためじゃなく、自分のしたいことをやって欲しい。

『歌手になりたい。』

『パイロットやお医者さんになりたい。』と………

何も、子供の頃のような夢を追って欲しいと言っているのではない。

夢が必ず叶う訳ではない事も知ってる。

…………そうじゃなくて。

大変でも、これがやりたいから頑張ると思って欲しい。

自分のために頑張って欲しいんだ。
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