笑顔の行方
そうして迎えた翌朝。

いつものように、目覚ましを使って俺だけが一時間前に起き。

手早く朝食と弁当の用意を済ませ

再び寝室に戻る。

ギシッ。

ベットに片足をかけると、きしむ音が聞こえるが………

あれほど沢山の目覚ましでも起きない寧々には。

風呂で出したオナラくらい、音が聞こえない。

………………そう言えば。

大昔、寧々と風呂に入っていたら………

気持ちよさのせいか、湯船でウンチをしたことがあった。

大慌ての俺が、風呂から飛び出して桶で掬っていたら。

真っ裸の俺を気にすることもなく、風呂に入って来た洋介のおばさんに。

「ハイハイ、ごめんねぇ~」と言われ。

掬った桶を手に、トイレに流しに行かれたよなぁ。

俺はあれ以来、年上の女性が苦手になった…………。

昔は…………

年上のお姉さまに、大切にされる結婚生活も良いなぁって

憧れてたんだけどな。

ベットの上では

規則正しい寝息をたてる寧々が………。

幸せそうに、少し笑みを浮かべて眠っている。

『気持ちよさそうに、安心して眠ってらぁ~』

寧々の表情に満足して…………。

前髪を左手で持ち上げ。

右手を寧々の耳の辺りに手をついて…………

ソッと顔を近づけていった。
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