笑顔の行方
それからは、みんなに宣言した通り

尚一層、勉強に励んでいた。

俺も、兄貴達が新しい事業を興したから大忙しで。

同じ家に住んでるのに

1週間殆ど顔を会わさない日もある程だった。

家事は

夕ごはんもバラバラなので、各自でとる事になり

寧々の美味しいご飯を食べれない淋しさはあるものの。

寧々に負担をかけずにすむのは、嬉しいことだった。

たまに週末ゆっくりする時間があると

今までは、一緒にいる事が当たり前だったのに

どう過ごしていいのか戸惑い。

二人して愛想笑いばかりが続いて………妙に新鮮だ。

「寧々、最近はどうだ?」

年頃の娘に戸惑う父親のような会話に。

これまた、緊張する寧々が

「うん、まぁまぁかな?」と曖昧な返事をする。

俺達って………恋人だったよな?





その受験も、いよいよ来週で全てが終わる。

大学は、そのままエスカレーターで上がることになったから

それほど大変じゃないと言っていたが。

それでも学内の合格ラインを越えなくてはいけないし。

面接や小論文の試験は、大変そうだった。

落ち着いたら、何処かゆっくり旅行したいな。

兄貴達も

『水族館に行こうね。』と言われたからと

受験が終わるのを、首を長くして待っている。

だけど、そこは彼氏優先で

先ずは………………二人で行きたい。

何処にするかなぁ?

相談したいが、今はもう少しおあずけだな。
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