笑顔の行方
そのご褒美は、ありがたく頂きなさい。

俺の努力の結晶でもあるんだから。

寧々の受験勉強の間、俺の仕事は大忙しだった。

原因は、寧々の受験変更。

寧々に会社を継がせて一緒に働く予定だった兄貴達。

しかし現実は大きく変わり。

寧々はみんなの将来を考えて、介護職につくと言い出した。

慌てたのは兄貴達。

直ぐに事業の拡大を俺に命じてきた。

内容は、介護老人向けマンション。

今までにも幾つも建っているが。

家族が一緒に住める………というのがみそだ!

年をとり、介護が必要になるとどうしても家族と別れて

老人ホームに入るようになる。

もしくは、家族が頑張って介護する。

寧々が兄貴達を看ると言うが、負担はかけたくない。

けど、離れて老人ホームは嫌。

…………………。

そこで兄貴達が考えてのが、介護老人ホームつき家族型マンション。

これなら家族が離れず、負担もかけずに生活できる。

…………………って、完璧寧々のための事業だよな。

もちろんここに、俺と寧々は住み。

寧々は、ここに就職する。

兄貴達もそれぞれ住み…………

寧々とずっと一緒にいる算段だ。

ホント…………頭が痛くなるほどアホな仕事だ。

それを

大企業のトップ達が当たり前のように造ってしまうんだから………。

命じられた平社員の俺は…………

『ハイハイ。』と返事をして、何とか今日までに作り上げた。

…………………それが、寧々への合格祝いだから。

ホント………この会社、大丈夫かぁ?
< 112 / 143 >

この作品をシェア

pagetop