笑顔の行方
先ずは………

明日から数日、休みを確保しないと。

寧々を車に残して、電話をかけに出る。

「……………兄貴、今…………」

「北海道だろ。
寧々は、元気か?」

「あぁ。
明日からの事なんだけど…………」

さっきまでは、長期の休みをもぎ取ろうと息巻いていたが。

いざとなると、中々言い出しにくい。

これでも一応社会人だ。

兄弟の会社だと言っても………

甘えは許されない。

どうしたものか、悩んでいたら。

「会長からの伝言を伝える。
『北海道にある老人ホームに
子供牧場や保育園を備えている所があると聞いた。
今後の参考に、少し時間をかけて調べて来てほしい。
出張続きで申し訳ないが、よろしく頼む。』だそうだ。
頑張れよ。
あっ、後…………洋介からの伝言で
『そこに寧々がいるはずだから連れて帰って来てくれ。』だと。
仕事が忙しくて、迎えに行ってやれないんだとさ。
…………と言うわけで、当分お前の仕事場はそこみたいだぞ。
帰りも寧々と一緒にな。
寧々が何処か観光したいって言ったら、頑張ってたんだから付き合ってやれよ。」と

ホント…………甘いよな。

「サンキュ。」

「仕事を頼まれて礼を言うなんて、変な奴だな。
まぁいいか。
じゃあ、帰ったら連絡入れろよ。」と言って切れた。


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