笑顔の行方
「お仕事、忙しいんじゃないの?
お休みして大丈夫?」

電話の相手が兄貴だったと教えてやると

休みを取ったと言っていたから、心配してきた。

「あぁ。
むしろ、ここの調査をしてこいと言う連絡だった。
老人ホーム付きマンションとその周りの都市計画の調査を任された。
ついでに洋介から、寧々を連れて帰るように言われた。
迎えに行けないらしいから。
だから気にしなくていい。
お前は、最後まで自分のやりたいように頑張れ。」

「ありがとう、彰人君。
ホントは…………
最後までみんなと一緒に頑張りたかったんだ。
学校で一緒にいる時とは違って、仲間って気がするの。
夢に向かって連帯感みたいな…………。」

寧々の言う事は分かる。

俺には洋介や昔の仲間がいた。

やんちゃもしたが、コイツらといる時間が一番イキイキしていた。

…………………けど。

寧々の言う仲間には………アイツがいる。

『みんな』と言う度に、アイツが頭に浮かんでくるんだ。

俺の仲間は………野郎ばかり。

けど寧々には………異性が混ざってる。

心が狭いと言われようが…………

そこを無いことには出来ないんだ。


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