笑顔の行方
「心配されました?
実は………
入学して間もない頃、まだグループになる2年前に
僕と将樹…………寧々に告白したことがあるんです。
今の彼女達と出会う前に。
寧々は、覚えてないですけどね。
その時に『ごめんなさい。私にはとても大切な人がいるんです。
大好きな人が………。
年もうんと離れてて、釣り合わないって言われることが怖くて………
中々人には言えないんだけど…………。
心を伝えて下さったから言います。
その人以外は………考えられません。ごめんなさい。』って。
あまりに純粋で………そんな気持ちに太刀打ち出来ないから
直ぐに諦めましたけどね。
将樹………態度悪かったでしょう。
初恋があれで…………おまけに側で見てると益々健気で………。
昔の好きとは違うけど
初恋相手だから………貴方につい突っかかってしまうんでしょう。
悪気も未練もないので、見逃してやって下さい。」と…………。

まさかこの孝輔まで告白していたとは。

しかし、寧々は覚えてないって…………辛いよな。

おまけに、俺までこんな態度じゃあ…………。

大人として、折れないとな。

「お恥ずかしながら、ヤキモチを妬きました。
寧々は子供の頃から一緒で………
俺の見てる限り男の影なんてなかったから、焦ってしまったし。
年の差がいくらあっても………
男女の間に余裕なんてないですね。」

「それを聞いて安心しました。
寧々を大切にされてるんだって………。
将樹ももう大丈夫です。」と人懐っこい笑顔を浮かべた。

さっきまでは、何処かライバル的に見ていたから気づかなかったけど。

二人とも人と関わる仕事を目指してるだけあって、魅力的だ。

頭も切れるようだし

ウチが老人ホームを造ったら、是非欲しい人材だ。

施設の調査に来たが、思わぬ人材にありつけた。

二人の女の子もしっかり観察しておこう。

寧々にとって

仲間が仕事仲間になってくれたら、これ程心強い事はないだろうから。
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