笑顔の行方
「寧々、ここは後何日いる予定だ?」

「あっ………ごめんね。
やっぱり退屈だよね。」

寧々は俺の気遣いばかりだ。

「アホ。
俺だって仕事だぞ。
みんながいる間は、一緒にいればいい。
俺が聞いたのは
兄貴達が『寧々の行きたいところを観光して帰ってこい。』って言ってくれたから
旅行して帰ろうかと思って。
ここに来て、何処か観光したか?」

足の間に立って、抱きついていた寧々を抱え直し

膝に座らせる。

顔を覗き込むと『ホント??』と嬉しそうだ。

「何処も行ってないよ。
空港に着いてそのままここに来たから。
ホントに良いの??
彰人君と旅行なんて、この2年行ってないもんね。
…………嬉しい!」

寧々が大学に通うようになって、何となく誘いにくくなった。

子供だと思えなくなり。

大人になった寧々と………っていうのが…………。

そう言えば、デートもあまり行ってないよな。

こんなに喜ぶってことは

寂しい思いをさせてたのか?

「だったら、旭山動物園に行きたい!
後は………ラベンダー畑。」

ここの牧場で、毎日動物に触れ合ってるのにまだ動物園?

どれだけ好きなんだよ。

まぁ、久しぶりのデートを楽しむか。

「分かった。
だったら、もう少しの間研修を頑張れ。」

恋人の時間は名残惜しが、明日も早い。

デートまでの数日は…………みんなの手前、スキンシップも我慢だな。
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