笑顔の行方
「それじゃ、またね。」

「バイト頑張って。」

「寧々、いっぱい甘えて彰人さんと楽しい思い出を作ってね。」

まだまだ喋りたそうな女の子達を

それぞれの彼氏が連れて行く。

「寧々、行くぞ。」

車に乗ってシートベルトを確認してから、ゆっくり発車する。

いよいよ二人のデートが始まる。

「彰人君、来てくれてありがとう。
彰人君の帰りを一人で待つって覚悟してたから
来てくれてびっくりしたけど……
ホントに嬉しかった。
おまけに、デートもできるんだもん。」

「その事だけど………
寂しい思いをさせてごめんな。
寧々がワガママを言えないって知ってるのに。
今日までは、みんなもいたし仕事だったから仕方ないけど……。
今からは、彼氏だから甘えてワガママ言っていいんだからな。
早速だけど、朝が早かったから辛いだろう。
俺に遠慮せず寝ろよ。」

気遣い寧々は

昨日も遅くまで起きて、一人一人にメッセージを書いて

メモを用意していた。

そうして、お別れする老人に帰るギリギリまで触れ合っていたんだ。

「大丈夫!
彰人君と違って、若いんだもん。
それより、道の駅でソフトクリーム食べよう。
ミルクたっぷりで美味しいって、果歩が教えてくれたの。」

………………確かに、俺より若いな。

年齢もだが、体力温存よりも食い気ってところが。

まぁ、これくらい元気なら動物園も心配ないな。

一回りすると、結構な距離を歩くって孝輔が言ってたけど。

案外、俺の方がバテたりしてな。
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