笑顔の行方
「寧々、もう怒ってないから………おいで。」

そう言って手を広げ、抱きしめる。

「…………………結婚………しよう。」

膝に抱えた彼女は………。

あの頃と同じなのに

全く違う。

幼かった寧々は………彼女で………

もうすぐ俺の奥さんだ。

「愛してる。
一緒に、幸せになろう。」

涙をすくう彼女の手を引いて

薬指にそっと指輪をはめる。

やっと。

やっと……………手に入れた。

「寧々。
二十歳の誕生日に…………籍を入れよう。
まだまだ学生だけど
無理せず…………幸せになれるか?
学生の間は、自由にいさせてやろうと思ってたんだけどな。
家庭に入ったからって………頑張るなよ。」

何度も頷いて

「『普通は、頑張って良い奥さんになって』っていうのにね。」と言って。

クスクス笑いながら、俺の胸にすがりつく。




親の愛情を知らずに育った俺達。

いつも誰かの愛情を求め、顔色を伺って過ごしてきた。

そんな二人だから………

二人の時は、のんびり心を癒したい。

俺の腕の中で、安心する寧々。

寧々を抱きしめることで、癒される俺。

無理なく、ゆっくり家族になろう。
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