笑顔の行方

改めて…………

「彰人君、おはよう!
今日は、彰人君の大好きな焼き鮭とだし巻き卵だよ。
…………起きて。」

チュッ!

あれから毎朝、1時間前に目を覚まし朝食とお弁当を作ってくれ。

お姫様のキスで起こされている。

ただし、頬だけど………。




あの日、唇にキスをした寧々に注意しようとしたら。

『ヘタレな彰人君に、お注射です!
初めては…………彰人君にして欲しかったのに…………』と

恨めしい目を向けられて、何も言えなくなる。

「…………………ごめん。」

俺はやっぱり、謝る以外に方法はなく………。

確かに…………俺からして欲しかったよなぁと………

反省しまくりだった。

そんな俺に、再びチャンスをくれた寧々は。

「もう、唇には寧々からしないよ!
あれはお注射だもん。
だから、カウントしないでいてあげる。
次が寧々のファーストキス!
あまり遅いと、他の人に盗られちゃうからね!
彰人君が決心がついたら…………してね!」と……。

20歳も年の差のある彼女に、諭されてしまった。

そうして今日も…………

子供の頃から何度もしている、頬のキスで起こされた。
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