笑顔の行方
「「いただきます。」」

あれほど慌ただしかった1週間前の朝が嘘のように。

新婚生活のような時間を過ごしている。

寧々は、おばさんに幼い頃から叩き込まれているらしく

家事は完璧だ!

兄貴の会社に勤めるまでは、喫茶店を手伝い。

夜はbarで軽い物を出していた俺は

そこそこ旨いものが作れる。

しかし、寧々の作る家庭料理は…………

俺の比じゃない程…………旨い!!

パッと、冷蔵庫にあるものでも作ってしまうんだ。

「あぁ、美味しい!」

俺は、何度こう呟いただろう。

おまけに、掃除や洗濯も。

さすがに、パンツを洗わせる訳にいかないから。

下着だけは自分で回しているが。

それ以外の物は全てやってくれている。

「寧々………………無理しなくて良いぞ。
後少しで高3だから、勉強も大変だろう?
受験勉強もあるだろうし…………」

寧々の事を考えて、そう言っているが………

本音は。

寧々が帰って自分でする自信がなくなってきたからだ。

それすらお見通しの寧々には。

「だったら、このまま結婚する?
良い奥さんになるよ!」とからかわれている。

冗談じゃなく………

本気でそうなればなぁ~なんて、甘い考えも過る。
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