笑顔の行方
「彰人、大丈夫か?」

兄貴がソッと近寄り、耳打ちする。

3歳の時から

俺の事を気にかけていてくれた兄貴には。

複雑な表情の俺が、気になるようだ。

「あぁ、もちろん。
さすがに、肝は冷えたがな。」

何でもない事のように、笑顔で受け流す。

目を見て、ポンと頭を叩かれ………

「無理するなよ!」と笑われた。

……………寧々におばさんがいるように。

俺には…………兄貴がいるんだろうな。




「ところで寧々ちゃん。
大パパに、報告することはないかい?」

会長である長男が…………悪い顔を始めた…………。

ゲッ!

それまで申し訳なさそうな表情を見せていた寧々も。

兄貴が何を聞きたいのか分かり、表情を緩める。

ニヤニヤする一同。

あぁ~あ……………。

残業と不当な対応に、諦めていたら………。
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