笑顔の行方
「兄貴のところだと、彰人が気を使うだろうし。
俺のところにしたらいい。」と口を挟んだのは

やはり寧々狙いの次男、圭兄だ。

「咲もいるし、昔のように一緒に過ごそう。」

確かに、貴文兄貴のところより

圭兄の家の方が安心だ。

寮だと寧々が遊びに来れなくなるから、ここは圭兄のところで…………。

そう言おうとすると、また口を挟む声が……。

「だったら、家に来なさい。
洋介夫婦も自分の家を持って、出て行っちゃったし
部屋は、沢山空いてるんだから。」

おばさんのところは、不味いだろう。

なんたって、しょっちゅう家を留守にして旅行に行くんだから。

寧々と二人だぞ。

「嫌、おばさんの家は…………………。
寧々もいるし、ケジメは…………」

言葉を濁す俺に。

「あら~
おばさんは、ないんじゃない?
さっき、ママって呼んで良いわよって言ったでしょう?
それに寧々とケジメって言われても…………
キスまでされて、きずものにされちゃぁねぇ~
まぁ、婚約者って言うくらいだから。
責任とってもらってくれるんだろうけど!」

ゲッ!!!

もしかして、それでこの嫌味な対応かぁ?!

元々、俺の失敗が巻き起こしたことだからと思っていたけど………

アルコールより、キスの方が責められてる??
< 50 / 143 >

この作品をシェア

pagetop