笑顔の行方
「そんなんで嫌わないよ。
俺も…………意地悪しすぎたし。
ただ、俺も男だから………
いつでも『待って』を聞いてやれる自信はないんだ。
だから、今までみたいにデートして健全な関係が一番なんだよ。
何もずっと嫌だと言ってる訳じゃないからな。
せめて高校を卒業するまでは…………。
寧々が不安なら婚約は直ぐにしたって良いから。
同棲は、もうちょっと後にしよう。」

俺の言葉に頷く寧々。

「だったら彰人君………帰っちゃうの?」

急に子供の頃のような話し方をする。

実は、毎回このおねだりに負けて泊まったんだよな。

「う~ん。」

悩んだ末に、頼ったのは洋介。

電話すると

「やっぱりそうなったか。」と笑って応じてくれた。

たぶん洋介には、この想像がついていたんだろう。

「……………悪い。」

俺の詫びに

「後一時間したら行く。」と返事が返ってきた。

「洋兄と3人って、久しぶりだね!」と

はしゃぐ寧々。

さっきまで俺と二人で喜んでたのに………

久しぶりに、洋介にライバル心がわいた。
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