笑顔の行方
ドロドロした大人の飲み会にウンザリしながら

唯一の癒しの寧々に目を向けると…………。

嬉しそうに微笑みながら、俺を見ていた。

………………………可愛い奴。

『寧々。』

口パクで声をかけて、隣に来るように呼ぶと。

ジュースのおかわりをしに立ち上がって、キッチンに消えて行った。

「彰人君、ザ~ンネン!」

「寧々、ホントに別れる気になったんじゃないか?!」

「彰人、振られた~!!!」

「ドンマイ。」

四人で盛り上がっていたと思ったのに

どうやら俺と寧々の行動は、目のはしに入れていたらしい。

チッ!

小さく舌打ちをしていたら

グラスと一緒に、何やら包みを沢山入れた紙袋を手に

戻ってきた寧々が…………

ストンと俺の隣に、腰を下ろした。

ヨシッ!!

心でガッツポーズをする。

やっぱり寧々は、俺の側が一番だよな。

改めて確信をもっていると。




「大パパ、ママ。
パパ………洋兄……………。
いっぱい、心配をかけて…………ごめんなさい。
寧々は……………
ママの娘になって…………
ここに居られるようになって……………ずっとずっと………幸せです。
みんな大好きで…………大切で…………。
でもね。
彰人君は………それでも一番大切なの。
大好きで……大切で……………………。
愛してるの。
みんな、みんな大好きだけど…………
彰人君は特別で……………。
だから………………
彰人君をマンションに帰してあげて!
寧々の幸せは………
彰人君の笑顔だから。
彰人君には、ずっと笑ってて欲しいの!」

…………………………………。

涙を浮かべて、一生懸命訴える寧々は………

子供の頃と変わらないのに………。

俺の大切な女だと思う。
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