笑顔の行方
「寧々……………」

『ありがとう。
もう良いよ。』

そう言おうと、口を開いた俺に被せるように

「寧々。
貴方の純心な気持ち………
ママは、大好きよ。
でも、
このおねだりは………
ママ達は、聞けないの。
……………ごめんね。
ママは、洋介と彩と寧々の母親だけど。
彰人の母親でもあるの。
彰人に今必要なのは…………
プライドや大人の判断じゃなくて…………。
家族の愛情と貴方なの。
ここにいる全員の、鬱陶しい程の愛情と
寧々のキレイな愛情が………
彰人を救う唯一の薬なのよ。
寧々は大事。
でも、ここにいるみんな…………彰人も同じだけ大事なの。
だから、ママと寧々と彰人の3人で住むわよ。
それに多分、しょっちゅうみんな遊びに来るわ。
ねっ!」

そういうおばさんに、みんな苦笑いしている。

あぁ~

確かに鬱陶しくなりそうだ…………。

「彰人、まんざらじゃなさそうだな。」

肘鉄でからかう洋介に

同じく肘鉄で返すが……………

確かに俺の口の端は上がっているはずだ。

ポカンと口を開けて俺を見つめる寧々。

俺の生い立ちを知らない寧々には………

よく解らない話しだよな。
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