笑顔の行方
そうして今回は…………。

幼い頃。

散々たらい回しにされ、傷ついて育った寧々に。

照れと自分を戒める為とはいえ。

寧々に向かって

『仕方なく預かる。』は………………ないよなぁ。

寧々………………………ごめん!




寧々の居場所は……………

たぶん、あそこだ。

移転前の洋介のパン屋。

商店街の一角にある小さな店だった。

俺と初めて出会ったところ。

兄貴の会社に勤め始めて

忙しくなり店を畳んだ。

今は、移転して彩ちゃんが中心になって

またパン屋を始めた。

それでも、寧々にとってはあのパン屋が我が家なんだろう。

寧々はたぶん自分の居場所を。

洋介達に…………

連絡していないはずだ。

…………………寧々はいつだってそう。

俺が悪者にならないように気遣い。

決して、他のメンバーに泣いてることを知らせないんだ。

ホントに良くできた彼女だよ。

それなのに俺は…………

いつも自分のことを一番に考え

寧々を悲しませてしまう。

どっちが年上か………………。

俺は年上として

寧々の将来を考えて行動していると思っていたけど………。

ただ単に、おじさんは嫌だと捨てられた時の保険をかけていたのか??

手を出していなければ

一時期の気の迷いだった寧々の思いに

付き合っただけだと言い訳出来るように………。

そりゃあ

寧々はもちろん。

おばさんや洋介達も怒って呆れるよな。
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