笑顔の行方
「………………………まだ。」

「はぁ??
まだ言ってないの!
自分で話すって言ったんでしょう。
ねぇ彰人。
決して楽しい話しじゃないし、話したくない気持ちは………解るよ。
でもね。
彰人は、自分の口で話して伝えないといけないの。
寧々には、自分の本音をキチンと話して
家族にならないと……………。
彰人はずっと過去に縛られて、幸せになれないの。
辛い気持ち。
不安。
憧れ。
彰人の思いを全て伝えなさい。
…………大人の彰人が寧々を守る家庭じゃなくて。
二人で、二人の家庭をつくるの。
……………解った?
…………………寧々~
今、洋介から電話が入って『彩が飲みたいって言ってる』て言うから。
ママ、洋介のところに泊まるね。」

キッチンで、買ってきたつまみを温めている寧々に

嘘の情報を伝えると

「頑張れ!」と一言残して、玄関に向かった。

「えぇ!
ママ~
ちょっと待ってよぅ。
このおつまみ、どうするの?」

俺と二人になることを焦っているのかと思いきや。

おつまみの行方を心配する呑気な寧々。

コイツなら…………受け止めてくれるよなぁ。

年の差幾つだと言いたくなる彼女だが。

寧々になら言えると、覚悟を決めた。
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