笑顔の行方
「もぅ。
ママってば、洋兄の誘いに弱いんだからぁ。」

ブツブツ文句を言いつつ

俺のつまみとビールを用意してくれる。

「サンキュウ。」

いただきますと手を合わせ

俺はビール、寧々はオムライスを口に運ぶ。

「……………………寧々。
明日の予定は?」

今夜遅くなりそうだと思い、明日の予定を聞いたが

どうやら寧々は違う意味に取ったらしくて。

「何も予定はないよ!
もしかして、デート??」とおおはしゃぎ。

今更違うとも言いにくい期待に…………

思わず「何処に行きたい?」と聞いていた。

「久しぶりだね!
彰人君が疲れるといけないから…………お家デートでもいいけど………。
もし元気だったら…………
あの日の水族館に行ってみたいな。」と

前回、デートに誘った時は遠慮して言わなかった寧々。

次の日、寧々が線路に飛び込み

その次に俺がアルコール中毒になった。

それからは、引っ越しや俺の仕事が忙しくなって

デートどころじゃない日々を送っていた。

一緒に住んではいるし、毎日顔を見ている安心感から

大切なことを伝えることも

デートすることもおざなりにしていた。

もしかして…………寂しい思いをさせてた?
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