笑顔の行方
そういえばお袋って………何の仕事をしてたんだ?

俺は、保育園に通っていたけど

夕方に迎えに来てくれて、夜は家にいて一緒に寝てた。

……………ということは、昼間の仕事か?

夜の仕事じゃないなら………

親父とは何処で出会ったんだ??

真面目なお袋が、不倫をしたのも…………不思議だ。

それに、俺と二人で生活していた時

親父が顔を見せたことは一度もなかった。

もしかしたら、親父は俺が生まれたことも知らなかった?

お袋が死んだ今は、解らないことばかりだなぁ。

やっぱり俺は、母親のことを何一つ知らない。

記憶にある少しの思い出だけが、唯一の母親像だ。

寧々は、何処までの記憶があるんだろう。

俺とは違って、もう少し大きくなるまで一緒に生活していたが………

良い記憶となると…………

俺より少ないかもしれない。

寧々の心の中に、気持ちが傾いた頃

ちょうど兄貴の家に着いた。

< 87 / 143 >

この作品をシェア

pagetop