極道の義娘は失声症
車が止まる
車から出ると大きな門が目の前にあった
玲華さんが片手を上げる
その途端開く扉
(凄い!開いた!)
キラキラとした目を輝かせていると玲華さんが少し笑いを堪えている
むすっとすると玲華さんは微笑ましそうに私の頭を撫でた
ー何ですか…
プイっとそっぽを向きつつノートを見せる
ノートを見た玲華さんは申し訳なさそうに
「ごめんなさいね?」
と言った
私は頷き
ー大丈夫ですよ
と微笑む

扉が開き切ると同時に人の走る音がする
(ー!?)
「「お帰りなさいませ!若!!」」
(ー!?!?)
戸惑っていると玲華さんが優しく私の背中を撫でた
まるで
(大丈夫よって言われてるみたい…)
安心していると視線を感じ,玲華さんの後ろに隠れる
ショックだったのか
「「え…」」
と声がした
私は怖がるよりびっくりしているを分かっている玲華さんは私を前に出して
「びっくりしたのよね?」
「…!」
コクコクと頷きペンを走らせる
ーはい
すると
皆がほっと安心していた
私は微笑み一礼する

「「天使ですか………」」
と言われました
「そうね,天使よ」
(玲華さん!?)
ーえ!?違いますよ!?
私がペンを走らせる度玲華さんは笑っている
中に入ると圧が来た
歩く音が違う
スパンと障子が開く
私はびっくりする
「親父,湊ちゃんびっくりしてるじゃない」
「わ,悪かった」
私を見て謝る男性に私は首を縦に振る
ー大丈夫です
と文字を見せた
優しい人だと素直に思った
此処は極道
怖い人たちの集まりと言うが
私は全く怖くない
「湊,怖くないのは何故だ?」
(?)
ー何故怖がる理由がありますか?
私は早く早くとペンを走らせる
ー家族だから,です
皆が泣きそうになっていた
(私のせいですか!?)
困っていると玲華さんが私の両耳を塞ぐなり何か叫んでいる
(何を言っているのだろう?)
「泣くんじゃねぇよお前ら!」
「「はい!」」
「おい,湊から手を離せ」
「おぅ,はい!湊ちゃん!」
ー何を言ってましたか?
「何でもねぇよ」
ーそうですか
私はほっとしつつも玲華さんを見る
「大丈夫よ,この人は仁と言って親玉よ」
「親玉というのはボスって意味だ」
(凄い!)
キラキラとした目で見ると仁さんは頬を少し掻いて
「んな目で見んなや」
と照れていた
「照れてる…」
「「………すげぇ………」」
「あんだよ!」
(面白い)
今日は色々あって疲れた
お風呂が広くてびっくりしたけど楽しい
外を見ていると仁さんと玲華さんが左右に座る
「湊,ありがとな来てくれて」
「ね!ありがとう」
(?)
ー当たり前です,こちらこそありがとう
私の文字に二人は天を仰ぐ
((家の娘,可愛い))
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