極道の義娘は失声症
お屋敷の探検をしていると玲華さんが私を見つける
「見つめたわよ!湊ちゃん!」
「ー?」
私の手を引いて着いた所には沢山の着物達
ー高いのに何でですか!?
「だって似合いそうだったんだもん」
私がノートを見せるとてへぺろとすると玲華さん
可愛いと思ったけれど私はキョトンとしてしまった
(可愛いのはどうして私なのですかね…)
ー着てみたいです
「勿論!その為だもの!」
イソイソと玲華さんが付き人の凛さんを呼ぶ
私は凛さんに一礼すると凛さんは微笑んだ
「そんなに固くならないでくださいませ湊さん」
首を横に振る
ーなら凛さんも敬語なしでお願いします!
ノートを見せて一礼した
凛さんは目を見開いて笑い出す
(ー!?)
「玲華の言う通りだな!この子」
「でしょ?」
二人の会話についていけない
戸惑う私はさっきから心配になってくる
「凛はね私の幼なじみなのよ」
「なぁ良い子ちゃん疲れねぇ?大丈夫?」
(良い子?私は…)
ー良い子ちゃんじゃないです!玲華さんの恥になりたくなくて
「恥なんて思わないの!!」
突然玲華さんが大きな声で怒る
大きな声に肩を揺らす
(怒ってる………)
「私はそんなつもりで貴方を引き取った訳じゃないわ!」
(引き取った………そうですよね)
「おい!玲華!!って湊ちゃ!」
ーもう良いです,凛さんもありがとうございました
私は玲華さんを見る事なく走り去った
止めようとした二人の手を振り払って
「玲華!お前あの子の辛い所んで言うんだよ!」
「分かってるわよ!あの子のあんな顔っ…」
とても辛そうで悲しそうに歪んだあんな顔なんて

走り去ったあと部屋で私は涙を流して蹲る
震えていた
怖くない
だけど
自分の一人ということを知って辛くて怖い
玲華さんの引き渡った言葉を聞いてやっぱりそうだねって思った
(苦しくて悲しい)
(死んでしまいたい)
私が扉を開ける前に開いた
そこには仁さんの姿
仁さんは私を担ぎそのまま歩き出す
(ー…)
「ー…」
抵抗もせずだらんと身を任せる
仁さんは自室に戻り私を下ろした
私の泣き跡を擦り私を抱き締める
「泣きたいなら一人で泣くな」
「ー!ッーフ」
仁さんは流石親玉だ
私のことを見てくれる
すると
走ってくる音がした
私は仁さんの後ろに隠れる
「湊ちゃん!」
「ー!?」
ギュと抱き締められる
(温かい)
あの時の温もり
私は涙を流して玲華さんを抱き締め返した
「辛い思いさせてごめんなさい!」
首を振る
ー私こそごめんなさい
「良いのよ!貴方は私の子なんだから!」
「ーァーッゥ!!」
二人で泣いて抱きしめ合っていると仁さんに抱き込まれた
此処にいても良いのかと
不安だった
笑うのも必死で怖くないと言っても一人ぼっちは怖くて
私は私だと
一人じゃないと
言って欲しかった
その言葉を
皆は
沢山くれる
だから
私も頑張って声を出したい
「ー!ー!」
(やっぱり無理なの?…)
着物を着ていると凛さんが来る
「あの時,ごめん」
私は首を振り微笑む
ー大丈夫です,ありがとう
「…」
反応がない
私は不安になり声を掛ける
ーあの,大丈夫ですか?
「可愛いな!好きだ!」
(えぇ!?)
私は困っていた
「もう!いくら凛でも渡さないからね!」
「女同士だもんな!」
あの
(なんの会話ですかーーーー!?)
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